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2009年10月 2日 (金)

樹木葬という文化

県内で初めて樹木葬を始めた住職、國井一之さん/福島@毎日新聞

http://mainichi.jp/area/fukushima/hito/news/20090929ddlk07070301000c.html


>吾妻山のふもとにある福島市佐原の「宝珠山 慈徳寺」。裏山の墓地では、墓石ではなく、

>カエデやドウダンツツジなどの下に遺骨が眠っている。今年4月から県内で初めて始まった樹木葬墓地だ。

(中略)

>当時の慈徳寺の墓地は、子孫が福島を離れて管理する人がいなくなっていた墓もあり、雑草が生い茂っていた。

>墓石が高額なことも気になった。「寺で先祖や子孫、古里の絆(きずな)をつなぐことが、21世紀の寺の仕事だ」と考えるようになり、

>04年ごろ、樹木葬を全国で初めて始めた岩手県一関市の「知勝院」を取り上げる雑誌を偶然読み、「これだ」と思ったという。

>檀家(だんか)と知勝院の視察などを積み重ね、08年から裏山の整備を開始。スギ林を間伐して、

>敷地面積約3700平方メートルにウッドチップを敷き詰めるなどした。85区画を設け、現在は約30カ所が決まっている。

>樹木葬ができる墓地としては全国で11番目で、東京や大阪からも問い合わせがあり、「反響が大きいことに驚いた」という。

>1区画の使用料は50万円で、管理料として15万円も必要だが、従来の墓地から比べると格段に安い。

>1区画を購入した福島市の主婦、菅野孝子さん(58)は「福島には親戚(しんせき)もいないので、

>普通のお墓だと守ってくれる人もいない。樹木葬なら子供たちに迷惑をかけずに済む。自然の中なので癒やされます」と魅力を語る。


ふーん、ってだけの話なんですが(高すぎるだろ!という気もしつつ…)、この樹木葬の文化は、朝鮮半島にはわりとメジャーにあるみたいですね。それを思い出したので、わりと樹木葬というのは民俗学的には歴史ある文化ですぞって話。


朝鮮半島のお墓は土饅頭がメジャーです。朝鮮半島より北のほうの遊牧系でもそんなかんじが多いと聞きますし、そっちよりの文化なんでしょう。

土をこんもり盛ってそれがお墓。日本みたいな墓石文化ではありません。

で、そこに生木を挿す文化が地域によってある。その際に木の表面を削って文字を書く。

さらにそれが挿し木になって根付くと吉祥ということらしいです。

それをまずこの新しい葬儀形式には思いました。

たぶん苗木を植えるのであって、生木をぶっさすのとはちゃうのかな?と思うのですが。

さらに、この生木を挿して表面を削いで板のようにして文字を書くという祭祀は、千葉だっけかな?の民間信仰にもあるようです。


うろ覚えなんですが、たぶん韓国の生木ぶっさし、植付け文化は、『アジア魔除け曼荼羅』、千葉(だっけ?)の生木祭祀は『目でみる民俗神1』で見たような記憶があります。(典拠間違ってたらごめん)

また今度確認しなおしときますが、とにかくそういう木を植えて祭祀とする文化は確実に伝統ある文化としてある。

これをピックアップするものとしてこの慰霊法を見ると、なかなかオツなのではないでしょーか。


ついでにいうと、これは寺域に植えるんでしょうが、山に植えて植樹と一体化というのもいいんじゃないかなあ。

日本古来からの山中他界感とか端山信仰の復活ってわけです。

(古来より死後の世界は山の中にあると日本では民俗信仰上されてきた。死んだら山に帰るとされ、祖先が村を山から守るという意識があったわけです。各地の村落の山に関わる豊穣などを願う祭りや祭祀はそういう思想から出ていることが多い。

また来迎図でも山を越えて阿弥陀如来が出てくる図がありますが、そういう思想を反映しているわけです)


とはいえ、墓標代わりの植樹というのは、現代は死者を怨霊としてしかとらえず、弔うという意識が薄れてますから、嫌がられるのかな。

供養植樹の山を神聖視して積極的に礼拝するというほうにいかず、心霊スポットとしてしてしか捉えないような…

(こういう山中他界感の消滅などを迷信打破、近代合理主義の帰結とする考えもあろうけど、一方でこのように心霊主義みたいな俗なものはあるわけで、これは単純に日本人の精神性が貧しくなっただけのような気もするわけです。近代合理主義どうこうでなく、他者への関心の欠如というものの帰結として、祖先信仰が薄れてるだけではないでしょうか。)


まあそもそもなにも墓石に拘るこたないし、もっと安価で安易な方法として、樹木葬あっていいんじゃないでしょか。

そもそも卒塔婆の板で、風化して…ってのが庶民の墓碑だったわけでして、立派な墓石を庶民までこぞって無理して立てるなんてことは決して必要不可欠なものではないはずです。硬直した死者祭祀の多様性という意味で、この動きは評価したいと思います。


アジア魔除け曼荼羅 (AROUND THE WORLD LIBRARY)

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山と森の神 (目でみる民俗神)

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