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2009年11月19日 (木)

INAXギャラリー『ゑびす大黒 -笑顔の神さま-』

NAXギャラリーはあなどれない。いつもマニアックな展覧会をやるし、しかもその図録本は単なる図録でなく、非常にコアな情報がまとまっており、ほんとうにあなどれない。

毎度凄いけど、民俗学的なこともよくやりますね。

陰陽道のローカライズ版の現存として知られる「いざなぎ流」の展覧会やったときも、私は行って無いですが、図録本だけ見ましたが、いざなぎ流の幣の折り方とかここまで丁寧にいっぱい載せた本他に無いでしょ?マニアックすぎる…と飽きれました。いざなぎ流を特集すること事態が無茶ですが、本の内容が単なるさらっと紹介にとどまってない研究者の最新知見みたいなことになってて、ただものではないな…と飽きれました。

http://www.inax.co.jp/Culture/1999/09tosa.html


このあいだは滋賀の民間信仰行事である「おこない」の展示会やりましたし…

http://www.inax.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001218.html

ほんまINAXスゲエです。



さて、このたびやってたのが『ゑびす大黒 -笑顔の神さま-』です。

大黒さんと戎さんの諸作例を大量に集めた展覧会です。


ゑびす大黒 -笑顔の神さま-

http://www.inax.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001470.html

f:id:ragaraja:20091119152302j:image


七福神に先行するものとして、ゑびすと大黒、2体をセットで飾る縁起ものがありまして、現代では廃れてしまってますが、

その作例が大量大集合。

特に、滋賀県八日市市の市神神社に保管されている像が凄い。何が凄いってまず数が凄い。300点近くて!どんだけあるねん!

状態のいいものだけ持って来てこれなんだろうから、神社に奉納されているのは、こんなもんではないだろう。凄い。

なんでも改築やらで居場所無くなった神像が奉納されたものらしいんですが、こんな異常な数のコレクションが残るのはなんなんだろう?市神神社は市宮恵比寿神社とも称され、祭神は事代主命=えびす神ということなので、そういうことなのでしょうけど、それにしても過剰です。

それだけこの地方では大黒+恵比寿の2尊像が非常に流行ってたということなのでしょうか。


像ですが、大半は江戸期モノなんでしょうけど、非常に古いものもあります。

鎌倉時代や、平安時代の古い作例などもある。

ふっくらにこやかな袋かついだ大黒さんでなく、天部、大黒天=マハーカーラの様相を強く残す甲冑姿の過渡期の大黒像なども含まれる。

ディフォルメがハンパな像やら、ディフォルメされてるようでも天部甲冑の面影残すものや、さらには多臂多面の大黒さんなんてものも。

大黒さんというと袋かついで打出の小槌のディフォルメされた姿で、大黒天、マハーカーラ=シヴァ神というのとはイメージに乖離がありますが、こういう間を繋ぐ過渡期の像を見ると、やはり大黒さんは大黒天なのだなあと思いました。


走り大黒といって、走り出す姿の大黒像の例も、眷属とされるネズミさんと絡めた像も、また持ち物も、小槌だけでなく武器を持ってたりいろいろ今のフォーマットに落ち着くまでの過程が見れて非常におもしろかった。

一方セットになる恵比寿神のほうも、大黒さんとの2体セットの作例だけでなく、漁村における豊漁神として祀られた例などいろいろ見れました。


あとは七福神も少しあります。戦前の引札がいろいろパロディ要素いっぱいでおもしろかったです。

森庄平氏所蔵のこれらでは、七福神がいろいろなシーンでいろいろコスプレしてるんです。

例えばみんな大正デモクラシーなかっこして、「ハイカラさんが通る」チックなお姿でおめかししてたりとか。大正紳士やら、女学生やらハイカラな姿に扮してるんです。民衆の神さまとしてあった七福神ならではのユルさが楽しいですね。

七福神がみんなで分業して一生懸命小判を作ってる絵とかもありました。こうやって福作ってくれてんのかあ~と楽しくなる絵ですね。


招福画は、自由で楽しいなあと思います。

現代日本では招福画を飾るなんて風習が随分すたれちゃってるけど、復活したらいいのに。

一方で風水だなんだといった本は売れてるみたいで、なんだろう、日本は招福文化破戒しちゃった結果、需要に供給ができてないんではないだろうか。

陰陽道とそれに付随する歳徳神だのなんだといった日本的方位神の風習やなんやといった民間風習は明治政府が禁令出して徹底破壊しちゃったわけですが、なんだかもったいないですね。

節分もいまや年一度になっちゃって他の節分は廃れちゃってるし、門松や鏡餅なんかも衰退の一途。(門松にしろ鏡餅にしろ陰陽道的な新年の神迎えの思想。明治初期には門松すら禁止令が出た地域がある)

かろうじで残ってるのは七夕だろうか。七夕も地域によっては禁令出たのです。


別に素朴な民間の信仰とかお祭りというのは豊かな文化だと思うし、あっていいと思うんですよね。こういうのも認めれないというのは心が貧しいのではないか。

日本古来からの素朴な伝統文化が廃れて、でも一方で風水だスピリチュアルだといったものに人が群がる。なんだか現代日本、歪んでません?

風水の中国じゃ年頭に、招福の年画とか飾るじゃないすか。道教神の絵を。ああいうのが本来日本でも文化としてあったのを、えびす・大黒とか七福神文化を見ると思い出します。

風水にハマってボリまくりの年画を風水師に買わされるより、日本の民衆文化の七福神でも飾ったほうが域じゃないかねえ。

ゑびす大黒—笑顔の神さま (INAX BOOKLET)

ゑびす大黒—笑顔の神さま (INAX BOOKLET)

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