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2010年3月20日 (土)

シアトルの神社、そして椿大神社の胡散臭い話し

今更正月番組の感想。NHK-BS1『地球アゴラ』2010/1/10放送分は、世界の日本人街の正月という特集でした。

https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20100110-11-19189

いろんな世界の正月風景が見れておもしろかった。

冒頭の話題で、出演者のマルシア談ではブラジルのお正月は、真夏の海へ行くそうだ(南半球だから真夏)。その際にはまっ白い衣装で、下着も新品にする。

七つの波を飛び越えて願掛けをする。そんで白いバラを海に投げて海の神様に願い事をするそうだ。

へぇ~いろいろ各国あるんだねえと思った。


マルシアの話は別に日本人街特有でもないのかもしれませんが

番組の主題は、各地に住む日本人はどういう正月を過ごしているのか?というもの。



ボリビアには沖縄移民が多く行った歴史があり、オキナワ村がある。横浜市と同じ広さだといい、900人の沖縄人が住んで1954年にできた。

米国占領時代の琉球政府時代に政府政策で約3400人が移住した。森を切り開き農村を作ったのである。

ここでの正月風景は、日本の紅白を時差の関係で31日朝から見て、みんなで集まってワイワイ会食をするというもの。

仏壇/神棚なども沖縄様式で、そのへんのは日本と変わらない。むしろ現代日本が失ってきたような古い日本の習俗を残してるようにも思えた。


その他いろいろあったんですが、興味深かったのが、アメリカ・シアトルにあるという神社。

2001年に立てられたアメリカ本土唯一の神社だという。(「本土」と解説したってことはハワイなんかにはあるのでしょう)

神主はローレンス・バリッシュ師(59)。若い頃から合気道をやっていて、神道を学ぶようになったという。15年前に三重県で神主として認められたという。巫女さんもアメリカ人がいっぱいいて変な雰囲気であった。

初詣でにはシアトルの日系人を中心に1000人以上が参拝したとか、イチローが入団時に訪れただの言ってた。


これなんだ?と思ったら、「TsubakiShrine」と書いてあった。アメリカ椿大神社ってこれか!!と三重県鈴鹿の椿大神社の胡散臭い話しは知ってたので思いました。

椿大神社というのは三重県にある神社です。伊勢国の一宮という自称をしていて、それを吹聴しているのですが、別にある都波岐神社との間で、

一宮論争というのがあって、どっちがホントの椿神社?というのをやっている。

古文献各種や古地図には椿神社というのがあってそれが一宮というのは誰も異論無いわけです。ですが、それはどちらなのか?という議論があるわけです。

椿大神社のほうはあとで説明するけど金持ってて宣伝活動に余念が無い、ある意味新宗教チックなノリのあるところなので、この喧伝をそのまんま取り入れてガイド本に書かれる例も頻発しているわけですが、正直胡散臭い話しでもある。

私は一宮論争及び鈴鹿の古地図事情にについては別に深い知識があるわけではないのでどっちが正しいとは言いませんが、声が大きいことをもって正しいとしてしまうのは違うような気がする。椿大神社の経緯と体質を見るに。


椿大神社の胡散臭い経緯については、続編的本がト学会で賞貰ったりしてた以下の本に詳しい。


新興宗教精神世界遍歴記

新興宗教精神世界遍歴記


新宗教に少年時代から系統し、各種精神世界を巡り巡ってきた筆者の半生記。おもしろすぎる!

弁護士仏教会機関紙『弁護士の仏教』第3号(1990年9月発行)に掲載された「私の宗教遍歴」に大幅加筆したものだそうです。

未読ですが、こののち2003年に塩瀬中乗のペンネームで『ガチンコ神霊交友録』を三交社より出しているそうだ。

『新興宗教精神世界遍歴記』ではいろんな新興宗教の潜入体験を通した紹介本として、なかなか部外者には見えてこない内実が書かれていておもしろかったのですが、著者が精神世界に親和的とはいっても普通の受け手側の人で、普通のルポタージュといえる本でした。

が、『ガチンコ神霊交友録』では著者がさらに進んで「指導霊」と交信できる能力を身に付けており、そのためなんだか凄い本になっているもよう。

このような遍歴を重ねる著者が自宅に設けた祭壇『萬神殿』も紹介されるそうで、はちゃめちゃな本になっているようです。

この本、第13回日本トンデモ本大賞をめでたく受賞したとのこと。

http://homepage3.nifty.com/hirorin/tondemotaisho2004gachinko.htm

うーむ、これも読んでみたい(笑


ガチンコ神霊交友録—最高の相談相手は指導霊

ガチンコ神霊交友録—最高の相談相手は指導霊



さて。

この遍歴を続ける中に、鈴鹿にある稲荷使いの霊能者の、「ことたま研究所」という団体が出てくる。

一時筆者はここにハマって通いまくっていたので、その界隈の話しが詳しい。

書内ではK研究所とあるが、『ことたま研究所』の中西清雲で間違い無い。

『お稲荷様と霊狐の祟り』という著書があるそうで、本の内容とピッタリ。この本を読んでしっくりきて訪ねたというように筆者は書いてる。

調べると中西清雲さんは平成16(2004)年8月永眠、享年87とのこと。

2006年に文芸社より『巫道記』上下巻という伝記が出てる(団体による自費出版だろう)。

http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/4-286-02335-4.jsp

http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/4-286-02336-2.jsp

巫道記 上巻

巫道記 上巻

巫道記 下巻

巫道記 下巻


夫の中西光雲と共にコトタマの研究に専念、各種の祝詞、神歌および『身滌、大祓、十種大祓』など惟神神典を解明したとある。

この中西光雲というのはこちらによれば古神道(ってオレは古神道うんぬんって単なる新宗教だと思うけど)界では言霊研究で名を残す人物らしいです。

http://aishoren.exblog.jp/3461183/


『新興宗教精神世界遍歴記』の記述とあわせて考えると、

旦那が神道の祝詞研究とかやってる古神道家で、神降ろしのシャーマン的な嫁・清雲と組んで新宗教という、大正オカルトブームに凄くありがちな構図ってことでしょう。

旦那が死んでからは、清雲が旦那の残した独自の祝詞だのなんだのを用いて霊能者業を続けて、篤信徒も居て、大教団にはならなかったけどそれなりにやっていってたという感じに思います。

(筆者は旦那の遺産を食いつぶしてそれでなんとかやってるかんじ的に評してました)


教義や祭祀内容をまとめると…


ことたま研究所は基本は神道理論に基づくのだが、釈迦如来や観音菩薩像も安置されていている。

本来必要は無いが、仏教徒として死んでいった霊は仏霊界にあるので、それを供養するためには仏教も必要ということらしい。

神殿は正面に天津神系統、向かって右側に国津神系統、左側に稲荷を祀る。ここで祀られる稲荷とは、中西清雲によって改心した霊狐たちであるという。


神札について:神社によくあるこういうものには有効期限があるもので、薄っぺらい紙切れは一ヶ月、芯を神で覆ったものは3ヶ月、木の板のものは1年という。


仏式十二因縁供養:毎月一回各1万五千円。創価学会の家庭用本尊に似た、はるかに巨大な曼荼羅を一世帯ごとに作る。サイズは全紙大で墨書き。部屋の壁に並べて貼り、仏壇の前に十二種類の料理を並べ、法華経を読誦する。

読むのは順に、無量義経徳行品(読み下し)、如来寿量品、如来神力品、観世音菩薩普門品(以上音読み)、提婆達多品(読み下し)。いずれも偈の部分。

神式の儀式:隔月で神殿で行われる


「拭き取り」:和紙に墨で一面に書いた護符。これでなでることで霊障を文字通り「拭き取る」


「紅符」:オブラートに1枚1枚、紅花から生成した顔料で書いた護符。薬のように朝晩服用する。


結局筆者は、おまえの不調が悪い狐が着いてるからだと巨大曼荼羅を買わされ、毎月のように大金使って供養に行かされるわけだが、彼の直感で狐に使われてるのではないか?と思い出し抜ける。

ただ、中西家のひとびと自体は、他の遍歴してきた各種団体と比べても良心的で親切な人に思えると書いていた。

部外者の私らからしたら「そんな大金!詐欺じゃん!」と思いそうですが、この業界の相場を知らんだけなんかもしれません。遍歴してきた玄人的には別にそれは特別じゃあないのでしょう。



…と、ことたま研究所の説明に終始してしまいましたが、椿大神社と何の関係が?って話し。

なんでも、このことたま研究所は本来東京を拠点に活動していたのです。

ところが、椿大神社の山本宮司がことたま研究所に傾倒するわけです。おそらく古神道研究家の旦那の祝詞研究にハマったんでしょう。(ただし筆者は、ことたま研究所の言霊に、言葉遊びみたいなコジツケばっかでアホっぽいと評していたが)

そして自身が先代から受け継いだ鈴鹿の地に信奉する夫妻をお招きするわけです。

戦後の混乱期、荒廃していた神社復興を願っていた山本氏は、崇拝していた中西清雲を生神様として招き、鈴鹿にことたま研究所を設立。

だから長らく椿大神社の敷地の中にことたま研究所はあり、両者は協力してここまで神社を拡大してきたわけです。


両者の利害は一致して商才のあった山本氏は椿大神社を拡大に成功。しかし海外への拡大などを巡って意見対立が目立ち始める(これがまさに今回のシアトル椿大神社)。

中西清雲の理論を始めは学び、次には借用し、最後には盗用して一種のタレント神主として一躍名をあげた山本氏だが、ことたま研究所との対立が深刻化していったそう。

両者の事実認識最大のギャップは、山本氏がことたま研究所を椿大神社の付属施設と捕らえのに対し、ことたま研究所側は自らを椿大神社の奥の院と考えていたことにあると、筆者は評する。

これら対立の結果、山本氏はことたま研究所がうとましくなり、権利関係あいまいなまま存在していたことたま研究所追い出しにかかる。

ことたま研究所に対し土地明け渡しと債務不存在確認の訴訟を起こす。

一方ことたま研究所側もオリジナルの祝詞の盗用などで著作権侵害の訴訟を椿大神社側に起こすことになり、両者の分裂は決定的になる。


訴訟に関しては、土地と債務に関してはともかく、著作権に関してはことたま研究所の祝詞や神歌をほとんどそのまま盗用しているため、負けようが本来無いという。

一方椿大神社側ははるか昔に遡った奥付の「初版本」をタイプ印刷ででっちあげ「俺のほうが先だ」と証拠とする始末。

筆者によれば、こんなの負けるはずないような話なのに、中西家は世間知らずの浮世離れした一家なので困ったもんだと書いてる。

このトラブルを知った頃、もう筆者はことたま研究所から心離れてたので、裁判手伝ってやったりしなかったようですが、椿大神社とことたま研究所を良く知るはずの彼は、これに関してはことたま研究所のほうに完全に理があるという判断のようです。


ことたま研究所によれば、椿大神社の御神体として納めるべく猿田彦大神の木像を制作したのだが、入魂の儀式の際、猿田彦大神が霊言を発して椿大神社の御神体となることを拒否したのだという。

当時まだ山本氏は表面的にはことたま研究所を立てていたので不審に思ったが神様のご意志なので奉納しないでおくと、間もなく山本氏は正体を露見したとのこと。

(つまり、椿大神社の本尊たる御神体は、女霊能者・中西光雲による魂入れを経ているわけですね。完全に一体のものです。知らない人多いと思うけど、近年までずっとこういう体制の神社だったわけです。)


まあそんなわけで、ことたま研究所が今何処にあるのか分からない。

鈴鹿の椿大神社の敷地からは出てるだろう。中西夫妻も両方亡くなられたので教団としての形態を維持できてるのかも謎。

ただ、伝記が近年出版されるとこみると、やはりどっかに続いてるのかな?この本によれば一人娘が居るそうだし。

(まあ『巫道記』読めば恐らく載ってるので、さらに詳細知りたい人はどうぞ)


まあそんなこんなで、椿大神社というのは、相当に新宗教的な団体なわけです。そもそも。

ことたま研究所の古神道という名のオカルト的な新宗教理論が戦後急成長の椿大神社の理論であり、こういう霊障・厄払い業をガンガンやって大きくなってきた神社であるという事実は認めざるを得ないだろう。

裁判の結果、使用を続けているであろう椿大神社の祝詞だ理論だといったものは、オカルト古神道家・中西光雲の理論であり、大正オカルトブームのそれであるわけです。

伝統と格式を言うようなものでは本来無いと思います。

山本宮司はそういう権威使った商売が得意な人で、シアトル神社もそういうものだと見えてくると、なんかねえ…

一宮論争も、事実はどうだか知りませんが、言霊のコジツケとか見てると、いくらでもコジツケ理論で一宮名乗りそうで、胡散臭く見えてきちゃうわけです。そんなわけで、私は椿大神社にはなんかしっくりこないものがあるわけです。

この筆者と同じく、霊障煽られて金いっぱい取られちゃった人も当然居るでしょうし、そういう資金であれだけ巨大化し、海外にまで進出し…というのがどうにも透けてきちゃう。

なんか今は毎度の宣伝のうまさでパワースポットである!と神社界隈自ら宣伝に余念が無いようだし、節操が無いと思う。



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ついでにググったらひっかかったのでメモ

こちらの稲荷信仰の占い師のかたのBlogで中西清雲の『お稲荷様と霊狐の祟り』の内容について触れている

http://www.uranaiblog.net/user/sineki/sineki/17796.html

稲荷信仰とか稲荷霊障みたいな信仰の人のあいだではわりかし評価されてんのかな?


こちらの『ムー』等の記事データベースによれば、ムーの197号に、「古神道秘法を現代に甦らせる中西清雲」という記事が掲載されているとのこと。

http://web.orange.ne.jp/~kibita/pnp/dat/d64.html


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さらに椿大神社名で発行の書籍、山本宮司著の書籍は、それっぽいものだとこんなのがあるようです。


『日本建国史 全訳・ホツマツタヱ』 著者:吾郷清彦、発行:伊勢一の宮椿大神社

『運命を開く神道』 著者:山本行隆、発行:伊勢一の宮椿大神社(のちに勁文社より発行)

『 「ツキ」を呼び込む研究 ビジネス・勝負を成功に導く「開運」法則』 著者:山本行隆、発行:かんき出版

『椿大神社二千年史』 著者:山本行隆、発行:たま出版

『 「幸運」の法則 現代人はなぜ疲れやすいのか』 著者:山本行隆、発行:青竜社

『神道気学宝典 』 著者:山本行隆、発行:たま出版

…etc


ホマツタエに、たま出版に、気学ですか…

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