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2010年3月17日 (水)

松材の仏像

毎日新聞2009/11/15号 雑記帳ヨリ

京都伝統工芸大学校(京都府南丹市)の学生が天橋立の松を使い清水寺(京都市東山区)の本尊で秘仏の十一面千手観音を制作。同寺で14日、展示が始まった。29日まで。

04年の台風23号で倒れた松の有効利用計画に参画している同校が昨年、清水寺の大黒天像を修復した縁。学生たちは今年5月、特別公開された秘仏を目に焼付け模した。

完成した像は高さ2.6mと実物の約1.5倍。松材は硬い植え、ヤニが出るため制作に半年かかったといい、学生らは「たくさんある仏様のお手を借りたいくらいでした」。


やたら古い記事をいまさら取り上げる。

まず驚いたのが松材の仏像という珍しさ。松はヤニとか出るし狂いも激しいとのことで彫刻とかではほとんど話しにきかない。それも2.6mもある大きな仏像を作るというのだから前代未聞ではなかろうか。

ヤニで手がベタベタになりながら作ったのかなあ?これは労作すぎますよ!

しかも特別公開中の秘仏を見て模写というのも大変。貸し出してくれたとかじゃあないわけです。

たぶん後ろやらなんやら特別に見せてもらったりはしてるんでしょうけど、製作現場に持ち込んで並べて彫れるわけではないのでしょうから、難易度の高い作業には変わりありません。



さて。

松材で仏像って作る例あるんだろうか?? 調べてみる。


こちらの仏具屋さんには材木の解説があり、松などについては

松や欅で仏像を作成する場合はありますが、材質的にあまり適していません。

欅などは硬くて重いため、柱や欄間として使用されることが多く、松材などは下彫りとして使用します。

http://store.shopping.yahoo.co.jp/kurita/mame.html

つまり、簡単に言えば、松材は練習、試し彫りに使ったりはするけど、仏像にはまず使わんよ!ということです。


他に松材仏像無いかなーとさらにググると、松材の大黒天像を売るサイトがあった。

http://www.butsuzou.com/list4/ebisudaikoku1.html

東洋仏所・仏像ドットコム。

…ということは、つまりは松田瑞雲氏。斬新な仏像とか作ってるかたですね。

アート仏像という円空憧憬みたいなシリーズを作ったりしている。

http://www.butsuzou.com/art/index.html

個人的には柳宗悦の言う「用の美」を円空仏に私も見るので、こういうアーティストの「これはどうじゃ!この作為いいじゃろ?いいじゃろ?」みたいのは雑味であり、そぎ落とした極地が生む美の円空とは実は逆ではないか…などと思ったりするんですけどね。

これはこれで一個の個性としてでもおもしろいよい作品と思う。円空とは逆の意味で。

しかし作暦見ると、釈尊会(女優の若村麻由美がいきなり教祖と結婚した例のアレ)の岡山にある総本山である三軌堂に天照大神坐像とか納入したり、他にも新宗教に納入がやたら多い。松田さん異端だなあ。でも芸術家ととしてはむしろ好き放題できて新宗教美術って面白いだろうなあ笑

松田さんはある意味異端なので、松材も使うだろうさ、…ということであまり参考にならない。


あとググって得た松材仏情報としては…

祥琳仏像彫刻教室

http://syorin.fc2web.com/service/nyukaiannai.htm

仏師の山崎祥琳さん(浄土真宗のお寺の住職でもある)の仏像教室の案内に

「練習用には松材、仕上げ完成用には桧が多く使われ」とあり、この教室では練習は松を使うようです。

松材を練習に使うってのは、わりと仏師会ではメジャーなんだろうか?

松材つっても、いわゆる洋木材の安いパイン材って意味で、日本のそこらに生えてる松って意味とは違うような気もしないでもない。

むしろ(日本の)松材って用途限られるから流通あまりしてないでしょうし。


唯一練習用とかでない伝統的松材仏らしいのが情報あった。

http://www.d4.dion.ne.jp/~hanami2/kuni/kuni1.htm1

広隆寺の弥勒菩薩半跏像が松材の一木造であるという。飛鳥時代の仏像です。

でもこれくらいしかGoogleではヒットせず。やはり仏像としては相当マイナーな素材です。

経年変化とかで松材ってどうなるんだろう??

しかし広隆寺のは飛鳥時代とさすがに古すぎて松材の特徴云々とかもう関係ないような物質に変化してそうだから、あまり参考にならなそう。


…というわけで、今回の清水寺の本尊の模造仏、松材の本格的仏像としてかなり稀有な存在であり、かなり注目ではなかろうか。

経年でどう変化するのか?とか、松材で仏像を作る際のノウハウとか、かなりニッチな知見が生まれるのではないかと…



天橋立名松リバース実行委員会

http://www.tango.or.jp/re-birth/

こちらを見ると、倒木利用を京都伝統工芸大学校に持ちかけ、その縁だそうだ。


毎日新聞の記事を取り上げたが、産経とか京都新聞のほうが詳しいことにあとから気付いた。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009102400079&genre=G1&area=K00

http://www.sankei-kansai.com/2009/10/08/20091008-015449.php

「ただし本尊は33年に1度公開される秘仏のため、代わりに本尊の前に安置されている「御前立(おまえだち)仏像」をモチーフにした。 」(産経)

「モチーフとした清水寺の本尊は33年に1度開帳される秘仏で、今年3月から5月まで特別開帳された際には、学生たちも作品のイメージを固めるために何度も足を運んだという。」(京都新聞)


え?どっちなの?そのちょうど西国33箇所の特別な公開時期だから、あえて本尊を!ってことかと思ったが。まあ大差無いとも言えるけど。

基本本尊を見て参考にしようという意図だが、混んでるし拝観料高いし、御前立も参考にしつつミックスして独自の解釈で!…ってとこかなあ?


「堅さともろさを持ち合わせる松材は、職人でも彫るのが大変ですが、堂々の大作になりました。」(産経)

「松は固くてヤニもきつく、彫るのが難しいが、立派な仕上がり」(京都新聞)

…と松材の特徴も少し触れられてて興味深い。

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