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2010年12月 2日 (木)

『近代スピリチュアリズムの歴史 心霊研究から超心理学へ』

スピリチュアルブームというのが昨今ありますが、これはいつか見た光景なわけです。スピリチュアリズム、和訳では「心霊主義」といいますが、霊魂の存在を認め、それを前提にした思想、ムーブメントのことをいい、18世紀末あたりからはじまって、19世紀にはとんでもないブームを巻き起こします。

日本では大正時代から昭和初期にかけてがその中心で、千里眼実験や念写などの超能力から、今もブームの臼井霊気法(レイキ)や座法などの健康法的なもの、さらには大本などのような新宗教ブームなど、心霊主義はかつて大ブームになったのです。

今人気の江原さんの霊魂論が、当時の心霊研究家で知られる浅野和三郎の、西洋心霊主義から輸入した構造をそのまま流用しており、はっきりと連なってるということはつとに指摘されることですが、現在のスピリチュアルブームはまさに「いつか来た道」なのです。横文字にせず、心霊主義ブームと読んでいいもんです。


さて、著者の三浦清宏は昭和63年『長男の出家』で芥川賞受賞、その他多数の作品があり、れっきとした小説家なわけですが、なぜいきなりこんな本?って話しなんですが、略歴によれば、昭和53年-54年には英国でスピリチュアリズムを研究、平成3年~日本心霊科学協会理事と、小説家以前にバックボーンとしてスピリチュアリズムの研究者というものがあるのです。

つまり芥川賞作家がいきなり心霊主義の本を出した!…ではなく、心霊主義の研究者が芥川賞取っちゃった!のほうがむしろ正しいといえようと思います。

あとがきによれば、編集者は、ちょっとした心霊主義研究に接した経験をおもしろく書いたエッセイ的な本を希望したようなのですが(文庫の予定だった)、研究者の血が騒いだのかめちゃくちゃ網羅的な近代スピリチュアリズム史のごっつい本になってしまい、ハードカバーのがっつりした本になっちゃったそうです。


中身はほんと凄い。スピを批判的に捉える人も、肯定的にスピリチュアルブームに賛同する人も、必携の本だと思います(著者は心霊主義肯定の立場です。冷静な語り口ながら、そういう未知のものを研究することに肯定的)。

特にスピっ子のみなさんにはぜひとも呼んで欲しい本ですね。

自分らが何に一体ハマってるのか?自分がいつも信奉してる説とはなんなのか?それも理解せずブームに載ってるのはどうかと思います。今あなたがマイブームになってるスピ的な事象、きっちり過去から連綿と繋がって今に至ってる思想であるということが理解できると思います。

スピ事象をより理解するためにも読んで損は無いと思います。もっとスピリチュアル的なことを学んでいきたいんです!とかいうてるひとは、江原さんの著書をドッカドッカ買う前に、これを読んでおかないとスピを学んでるとは言えない!とまで思います。

(他にも、と学会の『日本霊能史講座』なんかも併読すると、心霊主義の展開が理解でき、なおよし。ガチ否定派は岩波から出てる『超能力と霊能者』も心理学者の立場から否定論で歴史を追っててお薦め)


それにしてもこの本は凄い。日本語文献で、こうまで西欧の心霊主義史をきっちりかっちり細かい事件からなにから網羅して読めるってのはかつてなかったと思います。

なんせあちらのスピリチュアリズム団体各種の結成や分派の歴史なんて、日本語でなかなか読めないですよ。

欧米事情も、イギリスだけでなく、アメリカ事情、フランス事象などなど、各国について詳しく歴史を追う。

むろん日本における事情も詳細。しかし三田の月念写を肯定的に書くのはいいが(実際とそっくりという言だが、似てないという言が一般的ではなかろうか)、後年の念写におけるインチキ発覚事件とかも載せないとフェアじゃないでしょう。

そんなわけで、ところどころ心霊主義派のバイアスのようなものが散見されるが、まあおおむね学者的な冷静な視点に努めて立って平等に描いてる感がある。そういう欠点は差し引いても、この膨大な情報量は凄い。非常に価値のある著書を出版されたと思います。

「スピリチュアルって何なの!?」というひと全員に読んで欲しい本です。

近代スピリチュアリズムの歴史 心霊研究から超心理学へ

近代スピリチュアリズムの歴史 心霊研究から超心理学へ

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