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2010年12月15日 (水)

レバノンの宗教、マロン派とドゥルーズ派

最近イコンが好きで、イコンに関する本をいくつか読んでます。

歴史的な宗教会議を幾多にも経たイコンの論理とか、西側世界のルネサンスとかなんたらの宗教画とイコンを分かつものはなんなのか?また影響しあう部分はなんなのか?などなどおもしろいです。

日本における正教会の伝播と、布教のため戦略的に生み出された日本人イコン絵師、山下りんの足跡なども、おもしろい話しがいっぱい。


日本にまで明治には伝わるわけですが、ロシア以外の各国にも各国の正教会のカタチがあってイコンの伝統があるわけですね。

イコンとひとえにいっても、ビザンチン様のもの、ロシア風のもの、さらに西側の宗教画の影響を受けたイコン様式などなどがあり、その上にセルビアやらウクライナやらそら各国事情、展開が関わってくるわけです。

日本における山下りんから始まるイコン展開も、以前取り上げた牧島如鳩展なんて特異な展開を生むわけです。(なお日本における正教会は日露戦争なんかもあって伸び悩み、戦後はプロテスタントが伸張してるし、施設の新設に伴って必要とされるイコンも展開が薄く、実質山下りんに始まり山下りんに終わってる状況の様子。さびしい)


そんで知ったんですけど、レバノンの特殊なキリスト教系の宗派として、マロン派というのがあるのを知った。

イスラム勢力が東ローマ帝国、ビザンチン帝国を滅ぼして中東どころかヨーロッパにまで勢力を伸ばすわけですが、

そういう時代にレバノンの山奥に隠れて信仰を守った勢力だそうです。

宣教師マールーン、聖マロンが4~5世紀に創設した一派で、当時はまだキリスト教の東西分裂がなされていないので本来正教会でもカトリックでもなかったが、十字軍時代に宗教会議において再合同がなされ、カトリックの一派となった。

現在レバノンでもかなりの信徒数を誇り、社会でも活躍してるそうです。Wikipediaにはメディアで活躍するタレントや歌手やの多くはマロン派ということですが、恐らくイスラムの規制無しに顔出しで女性歌手とかが出れるってことなんかなと。

現在レバノンや隣国では、正教会があるけど、それらとはいまいち密接ではないそうな。やっぱ正教会とカトリックということか。

カルロス・ゴーンがマロン派信者だそうです。移民のようで、イスラムレバノンで居づらくなる人もいるんでしょね。


カトリックである以上、イコンは無いんだろう?と思ってたんですが、Googleで海外のマロン派のサイト見てると、聖画らしきものがある。英語苦手な私の理解がおかしいのかもしれないが、イコン風の絵がいくつか見られた。このあたりは周囲の東方正教会のイコン文化の影響であろうか?

けど、Youtubeで見たマロン派の典礼では、イコンらしいイコンは無い(絵自体はあったけど)。んで真ん中にキリストの聖像があった。

(正教会は絵であるイコンはいいが、像はダメ。逆にカトリック教会なんかだとイエス像だのマリア像だのがよくありますわな)


うーん、よくわからん。

カトリックという立場からすれば、イコンは無いはずだが、実際には各教会によるのかなと。

カトリックでも宗教画や装飾画は普通にあるわけですから。それが周囲の文化の関係上、イコン風の見た目の絵になるということは十分ありえることかと思う。


こちらにマロン派の宗教文化の様子が載ってる様子

http://www.bkerkelb.org/english/index.php?view=article&id=17:ecclesiastic-art-and-feast-days


なんだか断食がどうとか載ってますね。イコンも重要!というてます。

マロン派、なんだか西ヨーロッパのカトリックと違って、周囲のイスラム教や正教会と影響しあってレバノンローカライズがある感じ。

(ローカライズっていうか、そもそもマロン派はカトリックと本来違うんだから、原点回帰かもしれないが)





さて、題名にあげたもう一方、ドゥルーズ派。ドゥルーズ教と独自の宗教とすることも多い。

これまたレバノンの宗教で、レバノン内戦ではマロン派と激しく対立した勢力です。

こちらはイスラム教の諸派です。

10世紀にシーア派内イマーム派から分離したイスマーイール派ですが、その仲でも異端です。

イスマーイール派というのは、エジプトのファーティマ朝の教説なわけですが、第六代のカリフ、ハーキムの治世に、ハーキムを神格化するグループが現れ、その派閥こそがドゥルーズ派。

ハーキムの治世に生まれたが、ハーキム亡きあと、主流派の巻き返しにあい、レバノン山岳地帯に退避し、スーフィズムやグノーシス主義の影響を受けたという独自の思想を作り上げ、他のイスラム教からは異端視されてきた。

19世紀には、マロン派をフランスが支援し、対立するドゥルーズ派をイギリスが支援するなど国際紛争化までしている。シリアにおける反フランス闘争でも重要な役割を果たしたとのことです。


教義はWikipediaなどによれば、イスマーイール派やイスラム神秘主義(スーフィズム)に加え、グノーシス主義や新プラトン主義の影響を受けたと考えられているそうだ。

一番の特徴は、コーランを用いず、独自の聖典を持つということ。さらにメッカを聖地ともしてないし、輪廻転生を信じる。断食も義務ではないので普通はしないそうだ。

終末論も強く持ってるそうな。


こりゃイスラム教でなく、独自宗教というべきじゃないかなあ?と私も思います。

終末論重視というと、旧約聖書的なのかな?という気もするし、相当に異端だなあと思います。

まあそれ自体は旧約聖書からはじまって、愛を根本に置いたキリストやら、現実的で平等な解釈にしなおしたムハンマドなど、あちらの宗教の歴史は解釈の発見の歴史ですから、そんなのもあんのかな、とは思います。

(基本的に、キリスト、ムハンマドと、時代時代でやってきたことは、旧約時代の呪術的、土俗的な思想を排除し、近代化してきた歴史だと思うので、こりゃあ逆のベクトルのように思うけども)


しかしまーレバノン、独特な文化がありますね。実におもしろい!

マロン派もおもしろい存在ですが、ドゥルーズ派も特殊すぎますよ。これらがイスラムや欧米列強の大津波を経てなお、大きな勢力をいまだそれぞれ持ってるというのですから、レバノンの独特な文化が推し量れます。

交易の中心になったベイルートを要するレバノンですしそういう雑多な文化を許容する基礎があるのかもしれません。またオスマン朝は、山岳地帯のマロン派やドゥルーズ派なんかもそれぞれ独自の社会を認める支配を行ったため、いろいろ残ってるようです。

近代には、正教会、ドゥーズ派、マロン派と、それぞれ列強が扇動したりして荒れたようですが、なんだかんだでミックス文化で落ち着いたあたり、レバノン人の賢明さがあるように思います。

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